- 水槽を掃除しても短期間でまたコケが生えてくる…
- 水槽にエビを入れるといいって聞いたけどなんで?
- ヌマエビを飼うときのコツと注意点を教えて!
多くのアクアリストから愛されているヌマエビ。水槽の掃除屋として日夜活躍してくれる心強い存在ですが、意外とヌマエビを認知していない初心者が多いのも現実です。
この記事ではアクアリウム歴7年の私が、ヌマエビについて徹底的に解説します。記事を読めばヌマエビの特徴を理解し、その優秀な能力を最大限発揮させてあげられるようになるでしょう。
ヌマエビの飼育は難しくありません。簡単な注意点さえ押さえておけば、初めての生体だとしても問題なく飼育できます。むしろ最初からヌマエビを導入しておいたほうが効果的にアクアリウムを楽しめるでしょう。
なぜヌマエビ?プロからも頼りにされている理由を解説!
結論からいうと、ヌマエビは早めに導入すべきといえるでしょう。ヌマエビは捕食対象である肉食魚とは混泳の相性が悪いですが、穏やかな性格の淡水魚となら抜群の活躍をしてくれます。プロからも頼りにされるヌマエビは一体どのような特徴を持つのでしょうか!
ヌマエビとは?手軽に入手できる優秀なお掃除屋さん
ヌマエビとは日本全国の河川の上流から下流・用水路など、いわばどこにでも生息している淡水エビを指します。
- ショップで安価に購入できる
- 川で網などを使って捕まえる「ガサガサ」で簡単に入手できる
上記の方法でヌマエビは手軽に入手することができます。
ヌマエビは簡単に手に入るのにもかかわらず、水槽内での働きっぷりは絶大。混泳相手のエサの食べ残しやレイアウトのコケを見事に取ってくれるのでいるのといないのでは大違いです。見た目のかわいらしさも相まり、多くのアクアリストが飼育しているのも納得といえるでしょう。
少しデリケートだけど「温厚な性格・超有能・かわいい」は唯一無二
ヌマエビは水質の急変に弱いので、新しい水槽にお迎えする際にはしっかりとした「水合わせ」が必要です。特に水質の問題ない水槽でも、以前棲んでいた水との環境は別物。1時間程度は水合わせしてからお迎えしましょう。
一度新しい水質に慣れたあとは意外とたくましく、温厚な性格で他の生き物を攻撃する心配がない上にコケ掃除をしてくれるという素晴らしい存在。安心して水槽で活躍してくれるところもプロから愛される理由のひとつでしょう。
ヌマエビを水槽に入れよう!飼育のコツを徹底ガイド!
ヌマエビをスムーズに飼育するための解説をします。前提として、ヌマエビは「水合わせ」さえちゃんとやれば飼育は非常に楽です。あまり難しく考えず、少しずつヌマエビを理解していきましょう!
ヌマエビの種類とは?現実的な飼育の選択肢は2択!
ヌマエビの種類は諸説ありますが、基本的には4種類です。
- ミナミヌマエビ
- ヤマトヌマエビ
- ヒメヌマエビ
- トゲナシヌマエビ
結論として4種ともコケ取り能力に優れ温厚な性格ですが、入手の観点で手軽に飼育を始められるのはミナミヌマエビとヤマトヌマエビです。初心者はとりあえずこのどちらかを最初に導入しておくことをオススメします。
模様の美しいヒメヌマエビや少し珍しいトゲナシヌマエビだとネットショップで購入するのが基本ですが注意点があります。
- 割高
- 自宅に到着した時点で弱っていることが珍しくない
ガサガサで入手することもできますが、簡単には見つからないのでかなりの行動力と情報網がなければ現実的に厳しいでしょう。ちなみにミナミヌマエビはたいていの小川で簡単に網に入ります。
ミナミヌマエビかヤマトヌマエビを早めに導入して水槽をきれいにしてもらい、飼育に慣れてから他のヌマエビに目を向けるのがオススメです。
水質の急変に弱い!水合わせを怠ると弱ってしまう
ヌマエビは水質の急変に弱い部類に入ります。ヌマエビを迎える水槽の水質に問題がなかったとしても、以前の水質と違うだけで致命的となる可能性があります。数時間かけてしっかり「水合わせ」をしてから新しい水槽に入れるようにしましょう。
とにかく、すでに立ち上がっている水槽にヌマエビをお迎えする注意点は「しっかりとした水合わせ」の一点。一度新しい環境に慣れてしまえばたくましく成長してくれるのでほとんど手がかからなくなるでしょう。
ヌマエビが動かない!?水槽への導入初期の心構えを解説!
ヌマエビを水槽にお迎えした際、じっとして動かなくなることがあります。これは体調に問題がでたわけではなく、新しい環境に慣れるためのステップである可能性が高いです。具体的に起きやすい例を挙げます。
- まったく動かない
- 気付いたら脱皮していた
- エサを与えても反応しない
上記はよくみられる状況なので過度に心配する必要はありません。約一週間ほど経てば、いたるところをツマツマしている様子がみれるようになります。
しかし「横たわって足を動かしている」場合は手遅れの可能性が高いです。気をつけていたとしても低確率で死んでしまう生体は出ます。他のヌマエビが生きている限り、水質の異常を疑う必要はないでしょう。
ヌマエビが赤くなっている!?原因と対処法を解説!
エビが赤くなると茹で上がっているような印象を受けることでしょう。結論からいうと、エビが水槽内で赤くなる原因は「アンモニア」によるものです。水中のアンモニアが増加する原因を紹介します。
- 濾過バクテリアがうまく繁殖していない
- エサの食べ残し・フン・生体の死骸などが分解されると生成される
- 酸素濃度が低い
要は、しっかり立ち上がった水槽で1〜2週間に一度の「水換え」をやっていればアンモニアの急激な増加を避けることができます。
赤くなってしまったエビは基本的に助けてあげることができない状態です。失敗の経験を活かし、また同じことが起こらないよう気をつけましょう。
コケを食べてくれない!?エサのあげすぎには注意!
ヌマエビはコケを食べてくれる優秀な生体ですが、突如コケを食べなくなる事例も存在します。
- 美味しいエサの味を覚えてしまった
- エサを与えすぎてコケを食べる必要がなくなった
- 水槽に投入した初期
基本的にヌマエビに対してエサを与える必要はありません。食べるものがない状態でも平気で一週間以上生存できますし、なにより自然に発生するコケを食べて栄養源にすることができます。混泳している魚にエサを与えすぎると、余ったエサをヌマエビが食べます。この状態だとコケを食べる必要がなくなってしまうでしょう。
エサの与えすぎは水質悪化にも影響するので、飼育している生体にとって適度な量のエサの配分が重要です。
「スジエビ」には要注意!小さな生き物が全滅の可能性も!?
ミナミヌマエビより一回り大きい「スジエビ」。長い足を器用に使ってエサを食べる姿はかわいらしいですが、実は肉食性が強く獰猛な性格です。スジエビの気分によっては小魚やヌマエビが食べられてしまうことも珍しくありません。
私も初心者の頃にやらかした実体験があります。
- ミナミヌマエビの半身が沈んでいた
- 小さなメダカやヨシノボリが姿を消す
ガサガサで捕まえたスジエビを獰猛な性格とは知りつつ興味本位で飼育していたら数カ月後に上記の事件が起き、犯人はスジエビでした。スジエビをプラスチックの透明の容器に移し単独飼育することで対処しましたが、今でもスジエビを飼育する気にはなりません。
初心者はスジエビとミナミヌマエビの見分けがつかない可能性があるので以下の表を参考にしてください。
項目 | ミナミヌマエビ | スジエビ | 見分け方 |
---|---|---|---|
体長 | 1.5~3cm | 2~5cm | スジエビの方が大きい |
足の長さ | 短い | 長い | スジエビには小さなハサミがある |
顔の大きさ | 小さい | 大きい | スジエビの方が大きい |
性格 | 温厚 | 獰猛 | ミナミヌマエビの方がおとなしい |
見分け方はもっとたくさんありますが、どうしても個体差によるので特に表中のハサミの有無について確認すると簡単に判断することができます。
ヌマエビの混泳相手の選び方!小型熱帯魚との混泳は安心だが…
ヌマエビの性格は非常に温厚で、混泳相手に対する攻撃性はありませんが注意点はあります。
- 肉食性の強い生き物に食べられてしまう
- 隠れ場所が少ないといじめられることがある
小エビは肉食の魚にとっては美味しいエサです。10cmを超える肉食性の強い魚と混泳させると捕食されるのは避けられないでしょう。ドジョウや熱帯魚なら比較的安心して混泳することができます。
購入した水草を入れる際は要警戒!残留農薬・害虫の取り除き方
水草はヌマエビにとって「おやつ・隠れ家」として非常に相性が良いです。さらに水質改善にも水草は有効なため積極的に導入したいところ。しかしショップで購入した水草をすぐに水槽に入れるのは危険が伴います。
- 害虫対策で農薬が付着している可能性がある
- 無農薬だと害虫が付着している可能性がある
農薬はほとんどの魚類に影響ありませんが、ヌマエビに対しては致命的なダメージを与える可能性があります。また、無農薬だと逆に害虫の付着を疑う必要があります。対処法は以下の通り。
- 農薬が付着している場合はバケツに張った水道水に1〜数日間漬けた後、優しく洗う
- 無農薬なら水道水で優しく洗いながら、スネール等の卵を探す・除去する
農薬は完全に落とすのは難しいですが、ある程度除去できれば水槽の水で薄まりほぼ無害化することができます。
ショップで売られている水草は、害虫予防のために農薬を使用している可能性が高いです。購入時、店員さんに農薬使用の有無を確認しておく必要があるでしょう。
ヌマエビを増やそう!効果的な繁殖方法を解説!
4種類存在するヌマエビですが、唯一現実的に繁殖可能なのが「ミナミヌマエビ」です。ミナミヌマエビ以外は汽水域で産卵をおこなうため、繁殖の難易度は非常に高いと言えるでしょう。
ここからは「ミナミヌマエビの繁殖方法」について解説します。
ミナミヌマエビの繁殖方法を解説!適温を守れば勝手に増えるので簡単!
ミナミヌマエビの繁殖の手順は以下の通り。
- ミナミヌマエビ以外の生き物がいない環境で繁殖させる
- 春から秋にかけて交配・産卵
- 産卵に最適な水温は20〜24℃
- 子を宿したらお腹の下に卵を抱えている様子が目視できる
- 魚と混泳している環境で孵化させるのはNG(稚魚が食べられてしまうため)
- 稚エビがいる環境にろ過フィルターは使用できない
(稚エビが吸い込まれてしまうため) - 稚エビの隠れ家を複数用意する
要は「ヌマエビの単種飼育・水温を20〜24℃に保つ・ろ過フィルターは使わない・隠れ家を複数用意する」だけに留意すればミナミヌマエビの繁殖は可能です。
一度繁殖に成功すれば、その後ヌマエビを補充する手間がなくなるので非常に効率的。場合によっては、逆に増えすぎないよう対策が必要になる可能性もあるので注意しましょう。
ヌマエビをアクアリウムに迎えて楽しさと癒やしを手に入れよう!
プロからも頼りにされているヌマエビですが、水槽の管理に慣れていない初心者にとっても強力な味方となります。
- レイアウトについたコケを食べてくれるので掃除の頻度を削減できる
- 魚のエサの食べ残しを食べるので水質悪化を未然に防ぐことができる
- ミナミヌマエビは繁殖が簡単なので数を増やすハードルが低い
注意点は「水合わせを怠らない」「肉食性の強い生き物とは混泳できない」の2点。水質の急変に弱いとはいえ、一度新しい環境の水質に慣れてしまえばたくましく生きられる側面もあります。
なにより、一所懸命ツマツマしている姿は非常に愛らしくみていて飽きません。アクアリウムの醍醐味のひとつである「癒やし」もヌマエビから与えてもらい、ストレス社会を生き抜く一助としましょう!